
こんにちは、デザイナーでアーティストのマキチャリックスです!
みなさんは絵画といえばどんな絵を思い浮かべますか?
きっとこれまでに観たことのある自分の好きな絵や、有名な絵画ではないでしょうか。
もちろん自分自身が絵を描いている方であれば、自分の絵という方もいるかもしれませんね。
その思い浮かべる絵が何(絵の具などの種類)で描かれているかまで知っているという方は、きっと美術が好きであったり、絵に興味がある方ではないかと思います。
今回は数ある画材の中からアクリル絵の具と油絵の具にスポットを当てて、絵の具の違いやそれぞれの特徴、絵の具の選び方について解説していきたいと思います。
これから絵を描いてみようと思われている方にも参考になれば嬉しいです。
アクリル絵の具と油絵の具の特徴

アクリル絵の具と油絵の具はそれぞれどんな特徴があるのでしょうか?
絵の具を選ぶ上で、それぞれの特徴を知ることはとても重要なポイントです。
まずは特徴を知って、絵の具選びの参考にしてください。
アクリル絵の具の特徴
アクリル絵の具の特徴といえば何といっても速乾性ではないでしょうか。
絵の具の乾燥時間が速いという点です。
アクリル絵の具は水で薄めて使うことができて、乾くと耐水性になります。
この水が蒸発することで絵の具が固まります。
絵の具を水で薄めずにそのまま使うこともできます。
絵を描く時の温度や湿度などの環境にもよりますが、絵の具の乾燥が速いのでどんどん絵を描き進めることができます。
また、耐久性が高くて乾くと耐水性となりゴムのように丈夫になるのも特徴の一つです。
紙に厚塗りしたアクリル絵の具が乾いた後、上に物を乗せておくとくっついてしまったりすることがあります。
歴史の浅いアクリル絵の具ですが壁画に描く絵の具として開発された背景があるので耐久性は大切だったのですね。

また、透明性があり、下の色を活かした重ね塗りをすることもできます。
油絵の具の特徴
油絵の具にはどんな特徴があるでしょうか。
アクリル絵の具が速乾性であるのに対して、油絵の具は乾燥に時間がかかります。
アクリル絵の具は水分の蒸発で絵の具が固まりますが、油絵の具は乾性油が空気中の酸素と結合する「酸化重合」という化学反応によって固まります。
水溶性の絵の具が水分の蒸発によって固まるのとは異なり、油絵の具の体積が減らないために厚塗りが出来るのが特徴です。
アクリル絵の具でも厚塗りは出来ますが、メディウムなどを使わないと水分の蒸発により体積は減ります
油絵の具は水ではなく油で薄めて使うのでとてもツヤがあるのが特徴です。
美術館などで歴史のある油絵を観ても、とてもツヤがありますよね。
アクリル絵の具と油絵の具それぞれのメリットとデメリット
アクリル絵の具と油絵の具の特徴について解説しましたが、それぞれの特徴がメリットにもデメリットにもなります。
なぜならば、絵を描く人がどんなスタイルで何を求めるかによって変わるからです。
普段は仕事をしていて、絵を描くのは週末が中心という方なのか。
毎日少しずつ描き進めていきたい方なのか。
集中して一気に描いていきたい方にはアクリル絵の具のほうがおすすめです。

ちなみに私はそのタイプですのでアクリル絵の具を使っています。
もちろんそれだけの理由ではないですけどね。
アクリル絵の具と油絵の具の違い

アクリル絵の具と油絵の具はそれぞれ特徴がありましたね。
ここではアクリル絵の具と油絵の具の違いについて解説していきたいと思います。
この違いが絵の具の特徴にもなっているわけです。
展色剤(バインダー)の違い
展色剤(バインダー)とは絵の具を作る上で大切な材料になります。
そもそも絵の具は顔料に、この展色剤が合わさってできているのですが、この展色剤の違いが絵の具の違いになっているのですね。
アクリル絵の具は「顔料」+「アクリルエマルション(アクリル樹脂を乳化させたもの)」
油絵の具は「顔料」+「乾性油(リノレン酸などの不飽和脂肪酸)」
ちなみに
水彩絵の具は「顔料」+「アラビアゴム(樹木の水性樹脂)」からできています。
この展色剤の違いが絵の具の特徴になっているのです。
油絵の具は制作時に絵の具を薄める油や筆を洗う筆洗油を使用しますが、特有の匂いがあり、換気も必要となります。
アクリル絵の具は強い匂いがあるわけではないので、その点では使いやすいかもしれませんね。
乾燥時間の違い
アクリル絵の具は速乾性でどんどん描き進めることができる特徴がありますが、注意しないと筆の絵の具やパレットに出した絵の具が固まってしまうことがあります。
一度固まってしまうと絵の具を落とすのに大変苦労します。
油絵の具は乾燥に時間がかかります。
時間をかけてゆっくり絵の具を重ねたり、グラデーションやぼかしなどを楽しむことができます。
しかし、絵の具が乾くのに3〜4日かかったりするので、速く書き進めたい場合には向きません。
厚塗りの絵の具が完全に乾くまで1年くらいかかるともいわれています。
描き方、表現方法の違い
アクリル絵の具と油絵の具の特徴の違いから描き方や表現方法も違ってきます。
アクリル絵の具は速乾性なのでどんどん描き進めていくことができます。
また、透明性があり下の色を活かした表現が可能です。
厚塗りもできますが、絵の具のままだと乾燥後に体積が減ります。
様々なメディウム(絵の具の性質を変える補助剤や添加剤)を使うことで光沢を出したり、逆にツヤを消したり、質感や厚みを変えたり、速乾性という特徴を変えて乾燥速度を遅らせたりすることもできます。
メディウムの使用によって表現方法の幅はとても広がります。
油絵の具は乾燥が遅いのでじっくりと描き進めることができます。
乾燥の遅さを利用してグラデーションやぼかしをじっくり表現したり、修正することもできます。
厚塗りで乾燥後も体積が減らないため、立体的な表現をすることができます。
描写によって透明感や重厚感のある幅広い表現ができます。
自分に合った絵の具の選び方

アクリル絵の具と油絵の具の特徴、違いについて解説してきました。
ここでは自分に合った絵の具の選び方や、絵の具の特徴や違い以外に参考にすると良いと思うことを解説していきます。
自分のスタイルに合った絵の具選び
絵を描いている方はたくさんいますが、みんなそれぞれライフスタイルが違います。
24時間自由な方もいらっしゃるかもしれませんが、お仕事をされていたり、学校に通っていたり、ライフスタイルは様々です。
絵を描く場所も大切な要素になると思います。
油絵の具は特有の匂いがあり、換気が必要です。
学生であれば学校の美術室やアトリエを使うこともできるかもしれませんが、そうでなければ、自宅に換気がしっかりできるアトリエや専用の部屋があるかどうかも大事ですね。

初心者の方であれば、アクリル絵の具は水で薄めることができて乾燥も速いので始めるには手軽ではないかと思います。
絵を続ける上でのコスト面
絵を続けていこうと思った時にコスト面も重要な要素だと思います。
絵の具は使えばなくなっていきますし、紙やキャンバスも描くたびに用意しなければなりません。
一度買ったらずっと使えるものではなく消耗品でもあるのでお金はかかります。
アクリル絵の具は比較的安価ですので、初めに道具や絵の具を揃える時のコスト面から考えても始めやすいのかなって思います。

ちなみに私が中学生の時、美術の先生に「油絵をやってみたい」と言ったことがありますが、「油絵はお金がかかるから、始めるなら少し先にしたほうが良い」と言われたことを覚えています。
もちろん、油絵の具にしかない表現や魅力がありますから油絵を始めるのもとても良いと思います。
自分の描きたいイメージに合った絵の具を選ぶことのほうが大切だと思います。
作品を知ろう!観よう!

自分が描きたい絵のイメージが湧かないという場合はいろんな作品を観てみましょう。
いろんな作品を観ていくと、心が動く作品に出会えます。
「こんな絵とても自分には描けない」って思うこともあるかもしれませんが、最初からすごい作品を描こうと思わずに、自分の好きな作品をいろいろ観ていくと、自分が描きたい絵がイメージできるようになってきます。

私もSNSで好きな画家さんをフォローしたり、ギャラリーや展覧会に足を運んだりしていろんな作品を観るようにしています。
「次はこんな作品を描いてみたいな」って浮かんできたりします。
作家さんが会場にいらっしゃれば、質問したり描き方や表現方法など技術面も教えてくれたりします。
表現の幅も広がっていくのでおすすめですよ。
まとめ

今回はアクリル絵の具と油絵の具の違いについて解説しました。
アクリル絵の具と油絵の具の特徴や違いを知り、自分に合った絵の具を選ぶ参考になりましたでしょうか?
絵の具はアクリル絵の具と油絵の具だけではなく、水彩絵の具や絵の具以外の鉛筆、木炭、パステルなどなど、いろんな画材があります。
どんな絵の具を選ぶかは重要ではあると思いますが、絵を描くことや絵以外のアート全般を含めて楽しむことが大切だと思います。
絵を仕事として取り組む方から、趣味として関わる方まで幅はあると思いますがアートを通じて豊かな人生を送ることができれば幸せなことですよね。
例えば「若い頃は美術が好きでよく絵を描いていたけど今はすっかり描かなくなったな」という方が、「久しぶりに描いてみるかっ」って絵を始めたり、作品を制作したり、ギャラリー展示に挑戦したりして、人生が楽しくなったという方が一人でも増えたら私も嬉しいです。
アートライフで人生を豊かに!
それではまた、別の記事でお会いしましょう!
つい先日スケッチブックに出したアクリル絵の具が完全に固まった後、その上に絵の具の箱を置いておいたらくっついてしまっていました。