
こんにちは、デザイナーでアーティストのマキチャリックスです!
何時間もかけて描いたお気に入りの絵にはとても思い入れができますよね。
それはまるで我が子のように大切なものだと思います。
そんな大切な作品だから、ずっと美しいままで保存したいものです。
また、ご縁があって誰かのお家に飾ってもらえることになった場合でも、永く大切にしてもらいたいと思うのはアーティストの誰もが願うことではないでしょうか。
今回はアクリル絵の具で描いた大切な作品の仕上げに使うバーニッシュ(保護ニス)について解説していきたいと思います。

バーニッシュ(保護ニス)の効果
バーニッシュという言葉について聞き慣れない方もいるかと思います。
あまり普段の生活で登場する言葉ではないですからね。
バーニッシュとは絵画作品の表面に塗る保護ニスのことです。
日本語にするとわかりやすいですね。
ちなみに歯医者さんでは歯の表面に塗って虫歯の予防や知覚過敏を抑制する薬剤のことをバーニッシュというのだそうです。
アクリル絵の具で描いた絵の表面を保護する効果
保護ニスという言葉からなんとなく何のために塗るのか想像がつく方もいるかと思いますが、アクリル絵の具やアクリルガッシュで描いた絵や手書きのポスターなどの表面を、埃や傷などから守り、保護する効果があります。
それによって絵の具の劣化を防いで長期間美しく保存できるようになります。
絵の具は保存の仕方にもよりますが、紫外線などで劣化することがあります。
特に顔料の割合が多いアクリルガッシュはアクリル絵の具と比べて劣化しやすいと言われています。

アクリル絵の具で描いた絵の仕上がりをよくする効果
表面を保護する効果に加えて、アクリル絵の具で描いた絵の仕上がりをよくする効果もあります。
この後バーニッシュの種類について解説しますが、例えば艶出しのバーニッシュを使うことによって、絵の具の色をより鮮やかに見せることができます。アクリル絵の具の特徴である透明性を活かした重ね塗りで絵に深みを持たせる上にバーニッシュで仕上げることで、さらに色が際立って深みのある色味を出すことができるわけです。

写真はアクリルガッシュで描いた絵のバーニッシュで仕上げる前と後の比較です。
写真だと分かりにくいかもしれませんが、右の写真は艶で光を反射しているのが分かると思います。左はガッシュの特徴であるマットな表面なので光を反射していません。
アクリルガッシュは不透明でマットな仕上がりになるので、艶出しのバーニッシュで仕上げることで表面の保護に加えて雰囲気も変わります。
バーニッシュの使用で出せる統一感

アクリル絵の具で描いた絵の表面は筆のタッチの凹凸があり、そこに当たった光の反射が均一ではなくなるので艶も均一にはなりません。
艶ありのバーニッシュを塗った場合は凹凸の表面がなだらかになって光の反射が均一になるため、艶も均一になります。
艶なしのバーニッシュにはとても小さな粒子が含まれているので、光の反射もとても細かくなって全体が艶のないマットな仕上がりになります。
作品によっては、絵の具の盛り上げ技法を使って厚塗りをしたり、メディウムを使って質感を出したりすることもあると思います。
そういった場合にバーニッシュを塗って出る統一感が逆効果になってしまうこともありますので注意が必要です。

作品に合った使い方が必要になってきます。
バーニッシュ(保護ニス)の種類
すでにバーニッシュの種類については触れていますが、いろいろなタイプがあります。
ここからはバーニッシュの種類について解説していきます。
初心者にもおすすめのスプレータイプ

先ずは初心者にもおすすめのスプレータイプです。
塗る際に筆の跡がつく心配がいらないのと、ムラになりにくく耐水性、耐光性に優れた塗膜を作ることができます。
また、時間や手間をかけたくない方にもおすすめです。
おすすめのスプレータイプバーニッシュを紹介します。

HOLBEIN ホルベイン アクリリックメディウム スプレーグロスバーニッシュ AM591 220ml

HOLBEIN ホルベイン アクリリックメディウム スプレーサテンバーニッシュ AM593 220ml

HOLBEIN ホルベイン アクリリックメディウム スプレーマットバーニッシュ AM592 220ml
スプレータイプは液体タイプに比べて割高なので、たくさん使う場合には液体タイプの方がよいかもしれません。
液体タイプ
最も一般的な形態のバーニッシュで、液状で塗りやすく原液で絵の表面に筆や刷毛を使って塗っていきます。
また、筆や刷毛だけでなくスポンジを使ったり、エアブラシを使ったりもします。
おすすめの液体タイプバーニッシュを紹介します。

ホルベイン アクリリックメディウム AM573 200ml クリスタルバーニッシュ(つや出し画面保護用ワニス)

ホルベイン アクリリックメディウム AM577 200ml マットバーニッシュ(水性・ツヤ消し画面保護用ワニス)
バーニッシュの選び方

バーニッシュには液体タイプ、スプレータイプがあり、種類も艶あり、艶なし、半艶などがあります。メーカーによっては混ぜ合わせて好みの艶に調整することも可能です。
表面の質感や手触り、見た目(テクスチャー)が激しい場合は液体タイプでは塗りにくいと思うので、スプレータイプがおすすめです。
作品に合わせて艶ありか艶なしを選択しましょう。
例えば海の水面がキラキラ光っている絵には艶ありを選んだ方がより魅力的な仕上がりになりそうですよね。
手描きのポスターやグラフィックデザインなどには艶消しがよいかもしれません。
作品を写真で撮影する場合も、艶消しであれば光が反射しないので撮影しやすいと思います。
後は好みもありますね。
どちらのタイプを使わなければいけないなんてことはありませんから、「自分は艶がある仕上がりが好き!」、「マットな雰囲気が心地いい」など、それぞれの特徴を知った上でアートライフを楽しむことが大切だと思います。
バーニッシュ(保護ニス)のやり方

それではいよいよ実践です!
実際に描いた絵にバーニッシュを塗ってみましょう。
もし、「いきなり作品に塗るのは不安だ」という場合は紙や小さなキャンバスなどに絵の具を塗って、試しにバーニッシュを塗って試してみるのもよいかもしれません。
準備と注意点
バーニッシュを塗布する作品はしっかりと乾燥させましょう。
しっかり乾燥させないと表面の絵の具に影響が出る可能性があるので注意しましょう。
作品の周りを養生しておくと良いです。
特にスプレータイプのバーニッシュを使う場合は、吹き付ける作品の周囲はスプレーがかかりますので、ダンボールなどを使って周りに付かないようにしましょう。
石油系の溶剤を使用している場合もありますので、換気をしっかりしましょう。
長時間溶剤のにおいをかぐと有害です。
バーニッシュのやり方 〜スプレー編〜
作品にスプレーを吹き付ける前に画面外で試し吹きをしましょう。
いきなり作品に吹き付けて何かトラブルがあったら大変ですからね。
なるべく乾燥した日に行うのがおすすめです。
作品から30cmくらい離して上下左右、全体に薄く均一に吹きつけます。
作品に影響が出る恐れがありますので油性マーカーを使った作品に使用しないようにしましょう。
艶の調整は、塗布膜が乾燥してから繰り返し吹きつけます。
スプレーはムラになりにくく、とても短時間で塗布することができますので初心者の方にもおすすめです。

こちらはスプレータイプのバーニッシュ塗布作業写真です。
ダンボールで周りを囲って塗布しています。
こういったものを作っておくと、バーニッシュの塗布だけでなくスパッタリング(絵の具を飛び散らせる技法)を行う際にも使えますのでおすすめです。
スプレータイプは特に換気をしっかりした方が良いので、室内で行う際は注意してください。
バーニッシュのやり方 〜液体編〜
液体のバーニッシュには水性と油性があります。
アクリル絵の具には水性のバーニッシュを使いましょう。
塗布には筆やスポンジ、ローラーなどを使用します。
特に筆やスポンジを使用する場合は使いやすい大きさや硬さを選ぶようにしましょう。
一度にたくさんのバーニッシュを塗布しようとするとムラになったり、乾燥に時間がかかってしまったりするので、少しずつ塗布して乾燥後に塗り重ねるようにしましょう。
塗布した後はしっかり乾燥させましょう。

温度や湿度によって乾燥時間が変わります。
まとめ
バーニッシュの効果
・アクリル絵の具で描いた作品の表面を保護する
表面をほこりや傷などから守ります。
・アクリル絵の具で描いた絵の仕上がりをよくする
バーニッシュで仕上げることで、作品に均一な艶を出したり、マットな表面にしたりできます。
・作品に統一感を出せる
仕上げにバーニッシュを塗布することで作品に共通の艶を出したり、マット感を出せるので全体に統一感を出すことができます。
バーニッシュの種類
バーニッシュには艶出し、半艶、艶消しの3種類があり混ぜて理想の艶を表現することができます。
また、スプレータイプと液体タイプがあり、スプレータイプはムラになりにくく均一に塗布することができるので初心者の方にもおすすめです。
自分の作品に合った種類やタイプを選ぶのが良いでしょう。
バーニッシュのやり方
バーニッシュのやり方はスプレータイプか液体タイプかで異なります。
共通の注意点としては
・しっかり換気をすること
・一気にたくさん塗布するのではなく薄く均一に塗布すること
・しっかり乾燥させること
などがあります。
商品の使用方法や、使用上の注意をよく読んで使うようにしましょう。
バーニッシュは様々な種類があって自分の作品に合うタイプがどれなのか分からない場合もあると思います。
例えば画材屋さんに作品を持っていって、店員さんにどのタイプがおすすめか聞いてみるのも良いと思います。
今はインターネットで簡単に商品を購入することができる時代ですが、相談して購入できるお気に入りの画材屋さんを作るのも、いろんな情報を得ることができるのでおすすめです。
私も画材屋さんで相談して購入したり、インターネットで便利に買い物したり、時と場合によって使い分けたりしていますよ。
それではまた、別の記事でお会いしましょう!
なるべく直射日光の当たらないところに飾りましょう。