アクリル絵の具とアクリルガッシュの違いについて分かりやすく解説!

こんにちは、デザイナーでアーティストのマキチャリックスです!

今回はアクリル絵の具とアクリルガッシュの違いについて、初心者の方にも分かりやすく解説したいと思います。

アクリル絵の具とアクリルガッシュの違いについてよく分からない、同じものだと思っていたなんて方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

実は私もその一人でした。

私は高校、大学でデザインの勉強をしてきましたので、ずっとアクリルガッシュを使ってきました。つまり、身近にあったのがアクリルガッシュで、当時アクリル絵の具を使う機会がなかったのですね。

読み進めてもらうとその理由も分かると思います。

アクリル絵の具、アクリルガッシュの共通点

アクリル絵の具とアクリルガッシュはいくつか共通点があります。初めにその共通点を、その後にそれぞれ異なる特徴を紹介していきたいと思います。

バインダー(展色剤)はアクリル樹脂

アクリル絵の具もアクリルガッシュも顔料に、バインダー(展色剤)として使われているのは「アクリル樹脂」という合成樹脂です。それを乳化したアクリル樹脂エマルションを使っています。

アクリル絵の具は、顔料の割合がアクリルガッシュより低く、透明性が高いのが特徴です。対してアクリルガッシュは顔料の割合が高く発色が鮮やかなのが特徴です。

速乾性

アクリル絵の具、アクリルガッシュどちらも水で薄めて使用することができ、乾燥が早いため油絵のように乾くのに数日待つということもなく、効率的に作業を進めていくことができます。

ただし、速乾性であるが故にパレットで乾かしてしまうと落とすのが大変です。

MakichariX

個人的には水よりもお湯で流した方が落としやすいと思います。

写真のうさぎは、我が家のペットのブロンちゃんです。アクリル絵の具の特徴を活かして1時間で描きました。油絵具なら1週間はかかりますね。

乾くと耐水性

アクリル絵の具は水で薄めて使ったり、油絵のように絵の具をたっぷり使う盛り上げなどの表現がありますが、乾くと耐水性です。アクリルガッシュは水で薄めて使いますが、乾くと耐水性になるのは同じです。

速乾性で乾くと耐水性なので、スケッチブックのように使ったらめくって捨てることができる紙パレットを使えば、洗う必要がないのでおすすめです。

ダイソーにも10枚付いた紙パレットが110円で売ってましたよ!

私は30年以上プラスチック製のパレットを使ってきて、いつも洗うのに苦労していました。プラスチック製のパレットは絵の具が固まってしまい、爪でこするとたまに爪の間に絵の具が入って、地味に痛い思いをしたこともありました。まだ使ったことがないという方はぜひ一度使ってみてください!

アクリル絵の具、アクリルガッシュの特徴とは?

アクリル絵の具とアクリルガッシュの共通点について書いてきましたが、ここではアクリル絵の具の歴史と、アクリル絵の具とアクリルガッシュの異なる特徴を紹介したいと思います。

アクリル絵の具の歴史

1920年代から1930年代にかけてメキシコで壁画運動が起こり、屋外で使用できる絵の具が必要になりました。屋外の使用ということで耐久性が求められ溶剤系のアクリル絵の具が開発されました。しかしシンナーなどの溶剤で絵の具を溶かしていたので、危険性も高く使いにくかったため、1955年に現在の水で溶かして使う水性のアクリル絵の具が開発されました。

ちなみに乾性油を用いた油性塗料は12世紀ごろには存在していたと言われています。

MakichariX

アクリル絵の具の歴史はとても浅いのですね。

アクリル絵の具の特徴

アクリル絵の具の特徴は仕上がりにツヤがあり、色にもよりますが隠蔽力がアクリルガッシュと比べて低い傾向があります。筆跡も出やすいです。

写真の「青の上に赤」を見てみると筆跡が出ているのが分かると思います。濃い色の上に重ねると出やすいですね。

それらの特徴から透明感を活かした表現や重ね塗り、油絵のような絵の具をたっぷり使う盛り上げなどの表現に向いています。

アクリルガッシュに比べてバインダーの割合が多いので耐久性も高く、ひび割れも少ないです。

MakichariX

どちらかというと絵画に向いているのがアクリル絵の具だと思います。

アクリルガッシュの特徴

アクリルガッシュの特徴は、アクリル絵の具に比べると顔料の割合が高いので、不透明で、マット(ツヤ消し)な仕上がりが特徴です。

顔料の割合が高い特徴から、アクリル絵の具に比べて下の色の影響を受けにくく隠蔽力が高くなります。また、筆跡も出にくい為ベタ塗りがきれいにでき、発色が良いのもアクリルガッシュの特徴です。

このような特徴から絵画に向いているアクリル絵の具に対して、アクリルガッシュはフラットな面やデザイン画、イラストなどに向いています。

アクリルガッシュはアクリル絵の具と比べて耐久性が低いと言われています。これはバインダーの割合が低いからなのですが、例えば描いた絵を長期保存したり、丸めて持ち運んだりするとひび割れする恐れがあります。

アクリルガッシュは油絵のように厚塗りには向きません。乾燥後にひび割れをしたり、固まった絵の具が取れてしまったりする恐れもあります。

こちらは私が学生の時にアクリルガッシュで描いたウミガメ(ポスター)です。25年以上も前に描いた作品ですが、意外と目立った劣化は見当たらないように思います。

もし、アクリルガッシュで描いた作品を長期保存する場合は直射日光を避け、ビニール張りやニスなどでコーティングをして日陰で保存することをおすすめします。

丸めたり折り曲げたりせず、木製パネルに張ったままのほうが良いですね。ただし厚塗りなどは、ひび割れなどをおこす恐れがあるのでおすすめしません。

大切な絵画が劣化したら悲しいですからね。

アクリル絵の具とアクリルガッシュを使い分ける

アクリル絵の具とアクリルガッシュの特徴を紹介してきました。どちらが良くて、どちらが良くないということはありません。ここではアクリル絵の具とアクリルガッシュの使い分けや、デジタルデータについて紹介していきます。

アクリル絵の具とアクリルガッシュの併用

透明感を活かした表現や、重ね塗りをしたい場合はアクリル絵の具を使用したり、フラットなベタ塗りを綺麗にしたい場合はアクリルガッシュを使用するなど、目的に合わせて使い分けるのが良いと思います。

また、アクリル絵の具とアクリルガッシュは一緒に使っても問題ないので、一つの作品で併用することができます。

透明感を出したい部分と、下の色の影響を出したくない部分で使い分けることもできます。

デジタルデータに変換

絵画をアートスキャンして複製画を製作するなどデジタルデータに変換する目的であれば、どんな絵の具で描いても耐久性は関係ありません。複製画の技術も高く、ぱっと見では実際に絵の具で描かれているように思うかもしれません。私が初めて複製画を製作したときは、思いのほか綺麗な仕上がりで驚いたのを覚えています。

複製画は再現しにくい色もあるので作品によって違いはあります。

こちらは原画と複製画を並べて撮影した写真です。

左側が原画で、スパッタリング(絵の具を飛ばす技法)で表現したゴールドやシルバーの部分は光を反射して、絵の具ならではの雰囲気を醸し出しています。

一方右側の複製画の方はCMYKに置き換わって印刷されるので、光の反射や輝きは無くなってしまいます。

 

耐久性で選ぶなら

耐久性で選ぶなら、やはりアクリル絵の具がおすすめです。アクリル樹脂が多いので、厚塗りや盛り上げ技法などをしてもひび割れることもなく、つやのある作画ができます。

まとめ

アクリル絵の具まとめ

アクリル絵の具は透明性が高く、下の色を活かして重ね塗りなどの表現に向いている。

油絵の様な盛り上げ技法も可能である。

仕上がりにツヤがある。

筆跡は出やすい。

耐久性は高く、ひび割れの心配も少ない。

アクリルガッシュまとめ

アクリルガッシュは不透明で、フラットなベタ塗りなどの表現に向いている。

盛り上げ技法などはひび割れを起こす恐れがあり向いていない。

仕上がりはマット(ツヤ消し)で隠蔽力がある。

筆跡は出にくい。

アクリル絵の具と比べて顔料が多いので発色が良い。

耐久性はアクリル絵の具より低く厚塗りするとひび割れしやすい。

この様な特徴の違いがありますが、実際に使ってみて違いを感じてみてはいかがでしょうか。アクリル絵の具とアクリルガッシュの違いを感じながら描いてみるのも結構楽しいと思いますよ!

それでは今回はこの辺で。また別の記事でお会いしましょう!

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